居場所をください。


それから俺らは鍋を食った。

鍋とか久々。隼也とはまず来ねーしな。


「んー、お腹いっぱい。」


「は?もう?」


「や、結構食べたよ?」


いやいや……一人前は食ってねーけど。


「そんなんだからそんなガリガリなんだよ。」


「ガリガリじゃないし。

長曽我部さんの指示だから仕方ないし

もうそんな食べれないもん。」


「そんなんで本当に踊れんのかよ。」


「あ、ダンスはもうぐんぐん伸びてます。

体力もついたよ。疲れなくなってきたし。」


へぇ…。


「失礼します。」

……………なんだよ。

頼んだもんはもうきたけど。


「あの、松野貴也さんですよね…?

サインっていただけますか?」


ちっ…。


仕方なく俺は営業スマイルで

「いいですよ。」

色紙とペンを受け取った。


「お名前は?」


「あ、お店の名前で…。」


俺は店の名前とサインと日付を書いて

店員に渡した。


「ありがとうございます!

あの、写真とかって…。」


「ごめんなさい。

それは事務所から言われてるので…。」


「そうですか、お食事中に失礼しました!

こちら、飾らせていただきます!」


そういって店員は出ていった。



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