居場所をください。
結局こいつもエレベーターに乗って
私の部屋の前まで来た。
「もうなんにも言わねーんだな。」
「部屋の前で待たれるのも困ります。
さっさと入って。」
私は部屋の鍵をあげて
石田弘希を部屋にあげた。
「へー、意外ときれい。」
「意外とってなに。
勝手に来といて失礼な。」
「しかも俺んちより広いし。
稼いでるやつはいいな。」
「そうなの?」
「貧乏だからな。」
「長曽我部さんが仕事人間じゃなければ
離婚しなくて済んだのにね。
はい、お茶でも飲めば。」
「さんきゅ。
でも、母さんは仕事人間だから
離婚した訳じゃねーと思うけど。」
「え、そうなの?」
「父さん、ずっと誰かを探してたみたいだし。
しかも女。
耐えられなくなったんじゃねーの。」
「え……」
それってもしかして、私…?