居場所をください。
「ついた。降りろ。」
それからどのくらいたっただろう。
外を見てボーッとしてた私は
知らぬ間に知らぬ土地へと来ていた。
「……ここは?」
「こっち。」
私は長曽我部さんに腕を掴まれ
追いかけるように歩いた。
「ここ。」
そして長曽我部さんに連れてこられたのは
1つのお墓の前。
「"松野家之墓"?」
「貴也の母親な、一昨日なくなったんだ。」
「え…?」
「密着やってる途中だな。
俺のところに連絡が来たときはまだ生きてたんだけど
俺がついた頃にはもう亡くなってたんだ。」
「うそ……。
でも、1日はまだ…」
「いきなりだったらしい。
昨日は通夜、今日は葬式があったんだ。
だけど貴也が精神的に辛そうで
放っておけなくてな。
ごめんな、時間守れなくて。」
「ううん、事情はわかったから。
でもなんで黙ってたの?
教えてくれたって…」
「美鈴、期待するんじゃねーかと思って。」
「……なにを?」