居場所をください。
「座りなよ。
コーヒーならすぐできるし。」
マスターにお店の中へ入れてもらい、
私はカウンターへと座った。
「ううん、すぐ行くから。」
「そっか。
貴也のことかな?」
「……あのね、お願いがあるの。」
「なに?」
私は首、手、指からさくら色に輝くそれらを外し、
カウンターに置いた。
「これ、渡してほしいの。」
「……どうして?」
「またいつか……ね。」
私はマスターに微笑みながら言った。
「またね。」
そしてずっと身に付けていた貴也の思い出たちにも言った。
「マスターも。
またいつか。」
最後にマスターにもそういって
私はお店を出た。
またいつか
会えることを願って。