居場所をください。



「あんま男を部屋にあげんなよ。

彼氏嫌がるだろ。」


「あー、うん。そうだね。」


貴也か。

まぁ貴也もあんま人の事言えないけどさ。

……そういう問題じゃないのか。


「ってかなんで指輪外したわけ?」


「貴也に預けたの。」


「は?」


「またいつかそれを持って

私のところへ来てねって。」


「なんで今さら?」


「あの人、戻ってくる気ないみたいだから。

少しでも戻ってくる気になればいいなって。

戻ってきたときにあのころの続きになるように

思い出に鍵をかけたの。

廃れないように、美化しないように。」


「忘れんの?」


「忘れないよ。

思い出さないだけ。

指輪はなくても私は彼女のままだし。

と、信じてる!」


「ふーん。」


だから少しバイバイ。またね。



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