居場所をください。



「で、アルバムの先行予約も明日から。

ファンクラブは特設サイトから予約すると

このスマホカバーを特典でつけることになってる。」


「え、それ私もほしい。」


「あぁ、これ美鈴の分だから。」


「でも機種によってカバー変わるじゃん。

私はこれだからいいけど。」


「このカバーが特典でつくのは2月29日までに

代引きで発注したやつか金を払ったやつ限定で、

機種も記入欄があって、そこに書かれてる機種で

このカバーをつけることになってる。」


「へー、すごいね。

頑張るじゃん。」


「だから美鈴は明日このカバーのことも

ブログで書けよ。」


「はいはーい。」


「えーと、あとなんかあったっけ。

あ、そうだ。

この曲タイトルは?」


「"footpath"」


「歩道?」


「footpathはただの歩道じゃないでしょ。」


「やっぱり美鈴は頭がよくて助かるわ。

弘希、footpathってどんな歩道かわかるか?」


「……………俺に聞くなよ。」


「footpathは自然の中にある道のこと。

あと古い街並みとか。

そういうのを眺めるための歩道のこと。」


「で、なんでfootpathにしたわけ?」


「footpathは舗装されたものばかりじゃないじゃん?

人が歩いて道になってるところもあるじゃない?

だからなんていうか…今道に迷ってても

自分の作り上げてきた道が後ろにあって

これからの道も自分で作っていってほしいから…かな。

自分の人生は自分だけの道しかないから

迷って当たり前だし、

何もない草原とか森とかに自分で自分の道を

切り開いてく、みたいな。」


「今回は随分深いタイトルなんだな。」


「もうずっと前から決めてたからね。」




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