居場所をください。
それから私は自分の作ったクッキーを食べながら
またパソコンと向き合い歌詞製作。
長曽我部さんはテレビを見ながら
タレントチェック。
………かと思ったらパソコンを持って隣に来た。
「これ、でかいポスターにするやつ
どれがいい?」
それは今日撮った化粧品のデータ。
「長曽我部さんはどれがいいわけ?」
「今回はどれもよく撮れてるから
美鈴に選ばせようかと思って。
向こうもそのつもりでこっちに
頼んできたんだろうし。」
「どれって言われてもねー…」
私はクッキー片手に
長曽我部さんのパソコンを覗き込んでいた。
「これ。」
後ろから声が聞こえた
かと思えば私の手にあったクッキーが消えていた。
「ちょ、弘希!
勝手に食べないでよ!
しかも見ないで。」
「はぁ?どうせそこらへん貼られるんだから
今見なくてもあとで見るだろ。
しかもクッキー1枚でぐだぐだ言うなよ。」
「私はそのクッキーのために
夕飯我慢したんだからね!」
「食ってから言われてももうおせーし。」
「むかつくー…!」
「お前ら兄弟喧嘩みたいなことしてんなよ。」
言い合う私たちに
長曽我部さんが言った。
「なんで俺がおばさんと兄弟なんだよ。」
「おばさんとか言うな!」