居場所をください。
「ところでさ、美鈴。」
「ん?」
「歌詞、今日出すとか言ってたよな?」
「あ。」
やばい、できてない。
できてないよ。
「弘希とのんきにテレビ見てる時間が多かったけど
もちろんできてるよな?」
「いや、あの…
テレビの中のなにかからインスパイアされようかなと。」
「あほか。
バラエティ見て何を感じようとしてたんだよ。」
「………あとで必ず、はい。」
「まぁ今月中だから
まだ猶予はあるけどな。」
「早めに頑張ります。」
「でも無理はすんなよ。
美鈴、頑張りすぎる癖があるから。」
「だって長曽我部さんが
ずっと"頑張れ"とか"もっと"とか言うから。」
「今は頑張りすぎ。」
「でももっと頑張んないと。
みんなより体力ないから
ライブ頑張れないよ。」
「だから美鈴はあんなに踊らなくていいんだよ。
頑張りすぎて倒れたら元も子もないだろ。
踊る曲減らすとか、一曲の中の一部だけ踊るとか
体力残せるように工夫しろ。」
「でもみんなはずっと踊ってるよ?」
「美鈴は歌もあるだろが。
歌が本業。ダンスはそこまで頑張るな。
頑張りすぎて怪我したり
体調崩して喉つぶしたらどうすんだよ。
多少の無理はいいけど、今は飛ばしすぎ。
もう少し瞬と相談しろ。」
「……………はーい。」