居場所をください。
監督さんの話が終わって、
私は佐藤さんと倉庫へと戻る。
「よかったね、初映画。」
「脇役だけどね。」
「脇役だって大事だよ。
美鈴ちゃんが演じる美波がいなかったら
始まらないストーリーだからね。」
「そうだけど。」
やるからにはやっぱり主役がよかった
と思うのは欲張りだろうか。
「それにね、ツアーが終わると
次はカウントダウンライブがもう決まってる。
来年のツアーだってもう準備が始まる。
映画の収録期間に、カウントダウンライブと
ツアーのためのアルバム製作で忙しい時期だから
そのくらいでよかったと思うよ?」
「え、もうそんなに決まってるの?」
「もちろん。
しかも夏の終わりに大事な仕事があって
まぁそれはあとで長曽我部さんから
言われると思うけど
美鈴ちゃんが絶対嬉しい仕事が入ってきて
長曽我部さん、そっち優先させたいから
映画のオーディションやめようか悩んでたくらいだし
このくらいでよかったよ、絶対。」
「……………そっかぁ。」
「きっとその新しい仕事のこと聞いたら
美鈴ちゃん嬉しくて
主役じゃなくてよかった!って思うと思うよ。」
「そんなに?」
「うん。」
……………気になる。
なんだろ。