居場所をください。
「で、どう?調子は。」
佐藤さんが聞いてくる。
「うん、まぁまぁ。
やっと体力もついてきたし
動きながら歌うのにもなれたよ。
ハルと絡むダンスにもやっと慣れてきたとこ。」
「そっか。
初日まであと1週間、
ラストスパートかけすぎずに頑張ってね。」
「うん!」
あと1週間。
ついに私の全国ツアーが幕を開けるんだ。
「あと映画、決まってよかったな。」
「あー、脇役だけどね。」
「美鈴は歌で忙しい時期だから
それでちょうどいいよ。」
長曽我部さんも佐藤さんと同じことをいっている。
やっぱ忙しいのか、私。
「ところで夏の終わりの仕事ってなに?」
「あぁ、ちょうどここにみんないるし
話すにはちょうどいいな。
あのな、夏の終わり、毎年沖野さんが
スタジアムで1日だけライブをする。
そこに美鈴も呼ばれたよ。」
「……えぇ!?うそ!」
「毎年4組だけ呼ばれるんだけど
事務所が違うのに呼ばれたのは
美鈴がはじめてだ。」
「うそ!本当に!?」
「美鈴ちゃんにはぜひ出演してもらいたいです、
って沖野さんが俺のとこに直々にお願いに来た。
出るか?」
「出る出る出る!
当たり前じゃん!」
「そういうと思ってもう許可しといた。
つーことで、ダンサーズもバンドさんたちも
新しい演出お願いします。
美鈴はすぐに歌う曲決めろよ。5曲。」
「はーい!」
やったね!
沖野さんのステージに私も…
夢のようなんだけど!!