居場所をください。



楽屋に荷物をおいて、まずは会場を見る。


「うわー、広い…」


明日こんなところで歌うのか…

大勢の観客の中で……………


「初日は完売したよ。」


そう言いながら隣に来たのは佐藤さん。


「じゃあここ満席になるんだね?」


「恐らくね。」


まじですか……………言葉もでない…。


緊張がやばくて…宙に浮いてるような

そんな感覚だ。


「美鈴。」


長曽我部さんに呼ばれて

ふっと意識が戻る。


「なに?」


「バンドの準備が終わるまで

美鈴はこっち来て。

ダンサーたちは準備しといて。」


私は長曽我部さんと

ステージ脇へと向かった。


「ここ。

ここで美鈴は着替えるから。」


そこには部屋ではなく、

急遽設置されたような簡易的な広めの部屋。


「ここで着替えてそのままここで髪と化粧もできる。

当日はエアコンもついて涼しくさせるから。

歌って踊れば暑くもあるしな。


で、次こっち。」



私はまたステージへと戻ってきた。


「ここ立って。」


ここはどう考えてもセリ。

そこに長曽我部さんも立ち、

トランシーバーのようなもので

合図をするとセリがゆっくり下がった。


「で、こっち。」


下りると狭い通路のすぐそこに、またもや広い部屋。


「ここでも着替えができるから。

こっちでの着替えの方が多いから

こっちの方が広くしてある。

とにかく早く着替えろよ。

佐々木だけが着替えも手伝うから。」


「うん、わかった。」


「とにかく暗いからステージ以外は

必ずスタッフといること。

転んで怪我したら困るし。

スタッフはみんな電灯持ってるから。


で、次はこっち。」


まだあるのか。




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