居場所をください。



それから私はマイクを持ち、

ステージへと上がってとりあえず一回

2時間半かけて通した。


「うん、30分休憩。」


客席で見ていた長曽我部さんは

拡声器でそう言って、こちらへと来た。


「やっぱハードだね。

これが三ヶ月間、私大丈夫かな。」


「まだ始まってもないのに

不安になってんなよ。」


「そうだけどさ。」


「でも美鈴は2時間半歌っても

やっぱ声が枯れねーな。

腹からしっかり発声されてんだな。」


「水木先生に鍛えられてるからね。」


喉に負担がかからないように。

だから最初の頃はお腹もすごく疲れてたけど

あの腹筋のおかげで最近はそれも大丈夫。

声の出し方にもすっかり慣れた。


「低い声も出るようになったしな。」


「まだ慣れないけどね。」


水木先生は確かにすごい先生なんだろう。

やっとそれに気づけた気がする。



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