居場所をください。
それからお金を払って
私たちは会場へと向かった。
「水木先生から、姿勢を忘れんなって。」
「うん。」
姿勢ね。
堂々と歌えって言われてたね、確か。
「はぁー…やっぱ緊張する…」
「さっきの美容師な、
横浜公演のとき店が休みだから
彼女と見に来るってさ。」
「え!うそ!
チケット買ってくれたの?」
「だろうな?
俺は隼也以外にはチケット渡してねーし。」
「うわー、うれしー…」
決して安い額ではないのに。
今日来てくれるみんなも
お金払ってきてくれるんだもんなぁ…。
大事なお金と、大事な時間を使って。
「……がんばらないと!」
「その気合いを最終日までもたせろよ。」
「はーい。」