居場所をください。
「俺らが一般人でさ、
同級生だったらそういう縛りなしに
友達になれたのかなー。」
「……………それはどうかな。
私はここに来たからみんなと仲良くなれた。
きっと、前の私だったら
友達にはなっていなかったんじゃないかな。」
みんなが私のダンサーだから。
じゃなきゃきっと仲良くできなかった。
友達の作り方なんてわからない。
隼也も、貴也も、咲さんも、愛翔くんも
誰かが私に近づけてくれたから。
だから私はいまだにこの世界で
友達を増やせないんだと思う。
「じゃあやっぱダンサーになってよかったわ!」
「私も歌手になってよかったよ。」
「まーでもまさか
ダンスで金がもらえるようになるなんて
前は思ってなかったけどねー。
ほんと瞬くんと美鈴ちゃんのおかげー。」
「ハルが私の好きな顔をしてたからだよ。」
「まじ美鈴ちゃんって
俺の顔だけしか見てないよね!!」
「いいじゃん。
顔、好きだよ。」
「……………なんか複雑。」
「はは、喜んどいてよー。
私イケメン判定厳しいよ?」
「大谷くんは?」
「隼也はまぁかっこいいとは思うけど。
でも芸能人だしねぇ。」
「松野貴也くんは?」
「貴也はかわいい系だし
ぜんっぜんタイプじゃない。」
「え、そうなの?」
「そうだよ。
なのに好きになっちゃうんだもん。
恋愛って怖いね。」
「どこが好きなの?」
「内緒。
恥ずかしくて言えません。」
「えー!ケチ!」
「ハルは元カノのどこが好きだったの?」
見たもともないし全く知らないけど。
「もう忘れた!!」
「うわ、ひど!」
「まぁあの頃はいい女に見えてたんだよー。
俺細い子が好きだから
細くて、顔も小さくて、胸もあんま大きくなくて
見た目すごい好きだったんだけどね。」
「え、見た目ですか。」
「それだけじゃないけどさ。
別れてから時間もたってるし
なんかもうあんま覚えてない。」
「ふーん。」
「まぁ今はここで踊ってるのが好きだから
どうでもいいんだよね!もう。」
「彼女作っていいんだからねー?」
「今はいらなーい。」
「はは、そっか。」
「ずっとこのメンバーで
やっていけたらいいのに。」
「私はそのつもりだけど。」
「でも女の子なんかは
結婚出産とかあるじゃん。
美鈴ちゃんも。」
「……………少なくとも私は
しばらくその心配はない気がするけど。」
「やめないでね?」
「うん。やめないよ。」
「そっか。ならよかった。」
……………夏音とのこと
メンバーには誰にもいってないのに
ハルはなんか知ってるのかな。
でも大丈夫。
私は私の居場所は自分で守るよ。
ここを犠牲にする勝ちは選択しないし
ここを犠牲にする負けも選択はしない。