居場所をください。
「でもさ、いっつも美鈴ちゃん見てない?」
……………いっつもって。
逆になんでそれを知ってるわけ?
「美鈴ちゃんは見てて飽きないから。
特別な意味はないし
しおりんには関係ないでしょ?」
「あ……うん…ごめん。」
はぁ、めんどくせ。
こんな気持ち気づかれるわけにはいかないし
……………佐藤さんには気づかれてるだろうけど
俺はここでずっとやっていきたいしな。
「……。」
「……。」
それからはひたすら無言で
しおりんち前でタクシーを下りた。
「じゃ、おやすみ。
また明日~。」
こっから歩けば10分。
しおりんとは学区が一緒だったのか。
3つ離れてるから
全然気づかなかったけど。
「ハル!」
「……なに?」
「あの……」
「なにもないなら帰るよ?」
「あの……
私……ハルのことが好き。」
「え?」
好き?好き…ってラブってこと?
「だからいつも美鈴ちゃんを見るハルを見てた。」
「……………ごめん。
俺はしおりんをそういう風に見れない。
今俺彼女とか作る気ないんだ。
今は美鈴ちゃんの後ろで踊ることしか考えられない。
それに……前に美鈴ちゃんに聞いたんだ。
チーム内の恋愛はいいのかって。
その時、美鈴ちゃんはいいって言ったけど
もしケンカしたり、別れたりしたときに
影響が出るのは困るって。
本人たちはよくても周りは絶対気を使うから
ケンカしてもすぐ仲直りできるような相手だったり
円満に別れられる相手じゃなきゃ困るかなって。
美鈴ちゃんと踊ることも多いから
それを嫉妬されてギスギスするのも嫌だって。
だから俺はチーム内の誰かと付き合うことは
したくないんだよね、ダンサーとして。
だからごめん。しおりんの気持ちには応えられない。」
「……………そっか。」