居場所をください。
「……………わかったから。
全部話すからそんな怖い顔しないで。」
「あ、わりぃ。」
「その代わり、誰にも言わないでね。」
「うん。」
「昨日はたぶんハル、
私に告白しようとしたんだと思う。
だけど私がさせなかったの。
抱き締められて、そこで初めて
ハルの気持ちを知った。
ハルに、俺の気持ち知ってるんでしょ?って聞かれて
このままじゃハルに告白されると思って
とっさに離れて、知ってるよって答えた。
私ね、ダンサーとか、バンドメンバーとかと
恋愛禁止なの。
まぁ、私は貴也の彼女で貴也のことが好きだから
別にそれは全然いいんだけど
私を好きになるのもだめなの。
長曽我部さんは多分ハルが私のこと好きなの気づいてる。
ハルと私を二人きりにさせないから。
ハルが私を好きな気持ちが
ダンスより勝ってしまったら
ハルはダンサーを下ろされる。
今まではダンサーとして私のそばにいたし、
長曽我部さんもそれをちゃんとわかってるから
きっとダンサーをやめさせないんだと思う。
私も長曽我部さんもハルの実力はわかってる。
まだ若いし、私のそばにいてほしい。
だからハルにそのまま言った。
ハルがダンス好きなことも
私のダンサーを続けたいことも知ってるって。
だからこれからもそばにいてほしいって。
私はずるいから
ハルの気持ちよりハルをダンサーとして
そばにおいておきたかったから
ハルの気持ちに気づかないことにした。
ただそれだけ。
だからこの事を誰かに言わないで。
長曽我部さんの耳に入ったら
ハルはダンサーを続けられなくなるから。」
「……………そういうことか。」
じゃあ昨日のあれは
長曽我部さんになにも言われず
二人でいられる俺とか
彼氏になれた貴也への嫌みってとこか…。
あいつはダンサーとしてじゃなきゃ
美鈴のそばにいられないから。