居場所をください。



「……………ま、どうであれ、

夏音の勝ちだろ。

美鈴はもう終わり、だろ。」


黙ってなにも言わない夏音に代わり

永田さんが今度は喋りだした。


「そしたらこの会社も終わりだな。」


それに答えたのは長曽我部さんだった。


「この会社が終わればお前らも当然、終わりだ。

美鈴はここをやめても絶対どっかから声はかかる。

美鈴が望むなら、歌い続けることはできるだろ。

こんだけ実力があるやつを業界人は放っておかない。

そんな美鈴がいなくなったらこの会社は大赤字。

いずれは倒産、必然的にお前らは解散。


お前らはそれを望んでんのか?」


長曽我部さんがそういうと

永田さんは悔しそうに顔を歪ませた。


「貴也がいなくなった今、

ここを支えてるのは間違いなく

隼也と美鈴だ。


貴也がいなくなってできた赤字を

黒字に変えたのは美鈴だ。


お前らに、そこまでの実力はあんのか?

デビュー曲で1位すらとることができないお前らが

美鈴の穴を埋めることができんのか?」


……………いや、沖野さん相手じゃ

きっと誰でも1位はとるのが難しいだろう…。



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