居場所をください。
「歌っていうのはな
もう一度聴きたくなるような歌じゃなきゃ
売れねーんだよ。
お前らみたいな薄っぺらい歌なんて
1度聞けばいいか、盛り上げ用に
覚えとくために聴くだけ。
辛いときに支えてもらえるような歌じゃねーと
人の心には刺さんねーよ。」
辛いときに、支えてもらえるような歌…か。
私は誰かの支えになってんのかな。
好きなことを歌って、誰かのためになってんのかな。
「とにかく、今回お前らのために
こっちは赤字になったんだ。
それを黒字にしてくれる美鈴を
うちの事務所は手放さない。
こんなくだらねー勝負で美鈴がやめるはめになるなら
こっちはきっちりお前らに
損害を賠償してもらうからな。
美鈴を辞めさせたいなら借金覚悟で
社長と俺を交渉しろよ。
言っとくけど、美鈴はここをやめたとしても
歌う場所なんていくらでもあるんだからな。」
「それに、君はこの世界に向いてないよ。」
佐藤さん……………