居場所をください。
「どうします?終わらせます?」
「あと一回で終わらせよう。
もう9時半だし。」
「わかりました。」
……………マネージャーか?
なんだっけ……ありきたりな名前だったような……
「あ、佐藤。」
あ、そうだ。
佐藤ね、思い出した。
「それ、俺の息子の弘希。」
「え、息子?
長曽我部さんってこんな大きい子供がいたんですか?」
「美鈴と同い年。」
「え、美鈴と……
じゃあ妹と同い年の息子ってことですか。」
「俺もなかなか複雑だろ。」
「美鈴は知ってるんですか?」
「知ってるよ。
もう何回か会ってるし。」
「そうなんですね。
弘希くんは美鈴ちゃんの歌、聴いたりする?」
「え、いや……俺は全然。」
「えー、残念。」
残念って。
しかも絶対俺のことガキ扱いしてる。
父さんと話してるときと雰囲気が違う。
美鈴ちゃんって。