居場所をください。
「どう。
美鈴の良さがわかったろ。」
「少しはな。」
「少しかよ。
まぁいいけど。」
父さんはそういって
拡声器を持って立ち上がった。
「おーい、お前ら。
もう10時になるから終われよー。」
美鈴の想いね。
ふーん。
「これ、もらっていいんですか?」
「うん、いいよ。」
美鈴のマネージャーは微笑んで俺に答えた。
きっとこの人も美鈴の歌が好きなんだな。
しばらくして倉庫内は静になり、
気がつけばステージには誰もいなくなっていた。
父さんが戻ってくる前に
俺は美鈴のCDをカバンにしまった。
「弘希、もうすぐ美鈴が戻ってくるから、
帰る支度しとけよ。」
「支度とかねーし。」
来たままだわ。