居場所をください。
「なんで弘希が謝るの。
私に気つかわないでよ。
むしろもっと話聞きたいし。
長曽我部さんが親やってるとか
なんか想像できないもん。」
「……別にいつもとかわんねーよ。」
「誕生日とかは?」
「まぁ毎年なんかあるな。」
「なんかってなんなの。」
「初めて会った頃は一緒に住んでなかったから
普通に遊園地とか。
で、プレゼントもくれたし。
一緒に住み始めてからは
必ずケーキを母さんもいれて3人で作って
父さんと母さんが結婚してからは
仕事は早く終わらせて必ず早く帰ってたし
離婚してからは必ず俺に会いに来てた。」
「へー、すごいね。
いいお父さんじゃーん。」
そうやって笑ってる美鈴だけど
やっぱりその顔は少し寂しそう。
「……………別に無理して笑わなくていいけど。」
「だから気つかわなくていいって。」
「こっちのセリフ。」
「はは、そっか。」
「美鈴はねーの?
思い出。」
「……………そんなの、たくさんあるよ。」