居場所をください。
「今年は?」
たしか誕生日最近だったよな?
「なんにも。忙しいし、誰にも
おめでとうって言われることなく終わったかな。
去年はその日にたまたまライブがあったから
お祝いしただけなのかも。」
「父さんは?」
「長曽我部さんなんて
去年だって特にお祝いはなかったよ。
だから弘希は特別なんだよ、やっぱ。」
こいつがいちいち切なそうな顔をするから
どうしても放っておけなくなる。
「じゃあ、少し遅れたけど
誕生日おめでとう。」
「え……
ありがと。」
美鈴は照れ臭そうに
下を向いた。
「なんか、自分の誕生日って
お祝いされないから忘れかけてたよ。
私この前まで、誕生日って
まだまだ先だと思ってたもん。」
「どこまでアホなんだよ。」
「うるさいよ!
そっか、私もう18なんだ。
車の免許とれるじゃん。」
「とんの?」
「ほしいけど時間がねー。
とりあえずツアー終わるまでは無理かなー。」