居場所をください。



「お前は寂しくねーの?」


「寂しくないよ。

ずっと誰もいないから。

弘希はさ、たまにお母さんがいないけど

私みたいにずっと誰もいなければ

寂しさなんて感じないよ。

それが当たり前になる。

一人暮らしなんてそんなもんでしょ。

みんな一緒だよ。」


「家に誰か呼んだりしねーの?」


「しない。

帰ったあと寂しくなるから。」


「それなら前行って悪かったな。」


「今さらだし。」


「そうだけど。」


それから美鈴がなにも言わねーから

俺もなにも言えなくて、無言が続いた。


「……………あのさ、美鈴…」


いつもならここで

「ん?」とか「なに?」とか

なにか反応してくる美鈴が

なにも反応しなかった。


「……………美鈴?」


もう一度読んでみるけど

やっぱり返事はなく、

その代わり俺の体に美鈴の体がのし掛かった。


「……………寝てんの?」


そう聞いても当然反応はなく

本当にこいつはここで寝たらしい。


「……ったく、なんだよ。

動けねーじゃん。」


こいつどんだけ無防備なんだよ。

普通男の横で寝るかよ。


……………まぁ男とか女とか

お互いそういう意識はすくねーのかもな。



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