居場所をください。
俺に寄り掛かる美鈴をどかすわけにもいかず
俺はそのままずっとテレビを見続けた。
そしてそのまま30分。
やっと父さんが出てきた。
「おせーよ。」
「いつものことだろ。
……ってなにやってんの?」
「美鈴寝た。
俺動けねーんだけど。」
「あぁ、じゃあ運ぶか。
弘希も手伝えよ。」
父さんはそう言い、静かに布団を剥がして
軽々と美鈴を持ち上げた。
俺は完全サポート役。
部屋のドアを開けたり、
かけ布団を捲ったり。
で、美鈴は父さんの手によって
部屋の布団に寝かされたけど……………
ここ、前俺の部屋だったんだよな。
今じゃ全く別物。
美鈴の私物が置かれている。
服に、靴に、カバンに、カツラ。
「どうした?」
「いや、なんか
俺がいた頃の面影はねーなと思って。
ここだけ。」
「そうだな。
美鈴がここを出てったあと
また空っぽになったはずなのに
またいつのまにか美鈴の部屋化してるし。」
父さんはそう言いながら
すげー大事そうに美鈴の髪の毛を整えた。