居場所をください。



で、車に押し込まれたけど……


「荷物くらい置いてくればいいのに。」


「どうせ美鈴のせて帰るならいいかと思って。」


「しかも女物の香水。

これめっちゃ嫌い。

エアコンじゃなくて窓全開で。」


こういう甘ったるい匂いは本当に嫌い。

吐き気がする。

もともと香水とか好きじゃないけど。

亜樹の使ってた香水だけ特別で

あとは全部嫌い。


「あー、酔いそう。」


にしても匂いがきつい。

なんでこんな臭いの。


長曽我部さんが女と会ってようが

そんなのどうでもいいけど

この香水だけはまじでない。

こんなことなら佐藤さんの車で

送ってもらえばよかった。


「すぐつくから我慢しとけ。」


「すぐつくって20分はかかるじゃん。

道混んでたらもっとかかるし!

……………だめだ、吐きそう…。」


「実はそこで香水こぼしたんだよ。」


「は!?

それなのになんでこの車に私をのせたの!

私が匂いに敏感なことくらい知ってんじゃん!」


「まぁそんな怒んなよ。」


「怒るに決まってんでしょ!

そっちは休みでリフレッシュしたかもしれないけど

こっちは暑い中練習してきて、

ご飯もいかせてもらえず

こんな臭い車乗らされたんだから!」


さすがにキレるわ!

信じられない。


ただでさえ暑くてだるいのに。

お腹ペコペコで体はくたくたで。


「元はと言えば

美鈴が歌詞考えてないのが悪いだろ。」


「だから電話すればいい話でしょ。

わざわざこんな車で迎え来ないで。

明後日まで休みなんだから

家でおとなしく休んでればいいじゃん。」


……………だめだ、しゃべる気力もなくなってきた……

そのまま吐きそう……出ちゃいそう……………



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