居場所をください。
で、車に来たけど……
「あれ、私の好きな匂い。」
そりゃそうだろうな。
弘希が選んだんだから。
「……夕方、この車で妹を迎えに行ったらキレられた。
私が匂いに敏感なの知ってるくせに
なんでこんな車で来たんだって。」
「はは、そっか。
その子はこの匂い嫌いなんだ。」
「シトラス系とか花系、石鹸系はいいんだけど
他のは嫌いなんだよ。
あんま感情を表に出すやつじゃないから
キレられて結構落ち込んだ。」
「ひかるが?」
「前にも、本当は母親に迎えに来てほしかった
って言われて、あれはまじでへこんだ。」
「へー、そんなこと言う子なんだ?」
「……まぁあんときはあいつも
かなりパニクってたから。
俺も悪かったし。」
「でも言って良いことと悪いことはあるんじゃないの?」
「別にいいんだよ。
そう思われて当然だと思ってたし。」