居場所をください。



結局私が化粧してる間に

長曽我部さんが洗濯機を回して

朝ごはんまで作ってくれて

私が食べてる間に洗濯物を干してくれて

完全にお母さんみたいだ。


さっきまでの怖さは本当になくなり

いつも通りの優しい長曽我部さんだ。


「なぁ、美鈴。」


「ん?」


「俺と弘希って似てる?」


「喋り方とかは似てるよ。

一緒に生きてきたんだなってわかる。

だけど全然似てないよ。」


弘希が長曽我部さんみたいになるのには

まだまだ修行が足りないね。


「そ。」


その顔は笑ってはいないけど

いつも以上に優しい顔をしていた気がした。


「今日は出掛けるんでしょ?」


「そうだよ。」


「じゃあ夜は長曽我部さんち泊まる。」


「はいよ。

あ、そうだ。

車、ディーラーに持ってって

クリーニング頼んできた。

そしたら代車貸してくれたんだけど

電車とどっちがいい?」


「なら車で!」


「はいよ。

なら今日は佐藤はいらねーな。」


いらねーなって言い方もひどいけどね。

でも佐藤さん、最近忙しそうだしね。



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