居場所をください。



貴也がSecretについて語ってると

俺のパソコンはまた音が鳴った。


「あ、また美鈴。」


ってことはまた歌詞か?


「俺も見ていいですか?」


「あぁ、佐藤はいいよ。

マネだし。

貴也は片付けとけよ。」


「はいはい。」


えーと…




"僕は今強く思うよ
会うことも話すこともできない僕でも
歌で伝えられることが出来るから
だから僕は歌を選んでよかったと

君が今どこにいるのか
僕にはわからないけれど
僕は変わらずここにいます
僕はここでずっとずっと
あなたの居場所を守っています

君の想いは痛いくらい伝わってるよ
君が本当は弱いことも僕は知ってる
だから僕は君を一人になんてしないから

僕はずっと君のことを想うよ
君がくれた居場所で変わらず
僕はずっと君のことを想うよ

伝えたいことはただひとつ

必ず帰ってくると言った君の言葉を
僕は今でも信じています"


……………これは……


俺と佐藤は思わず目を合わせてしまった。

そしてそのあと、二人して笑った。


「ってかタイトルねーし。」


「はは、ほんとですね。」


しかたねーな、電話するか。


『プルルル…… はいはーい。』


「タイトルねーけど。」


『あ、忘れてた。

"手紙"で。』


「へー、日本語なんて珍しいな?」


『伝えたい相手がバカだからね。』


「いくらなんでもバカにしすぎな気がするけど

まぁわかった。」


『いい?』


「あぁ、すげーいい。」


『そ、よかった。』


「じゃ、また明日な。」


『うん。』



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