居場所をください。


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さっさとシャワーを浴び、

少し湯に浸かって、

ご飯が出来上がる前に髪の毛まで乾かし、

私はリビングへ戻った。


「あ、お肉だ。」


「そ。もう出来るから。

ほらよ、お茶。」


「うん、ありがと。」


私はダイニングテーブルに座り

遠いけど大きなテレビに電源をつけた。


「あ、今日隼也ドラマの日だね。」


「あぁ、そうだな。

見てんの?」


「見てるよ。

隼也いちいち感想を求めてくるからね。」


「美鈴ってさ、友達隼也しかいねーの?」


「い、いるよ!

咲さんだって…」


「他は?」


「……まぁこれからゆっくり…」


「まぁ隼也もオーディションのグランプリで

ここに来たけど、オーディションのやつは

あんまり下積みがないから

あいつも貴也以外友達できなかったけどな。」


「みんなやっぱ下積み経験というものがあって

デビューしてくの?」


「まぁ人それぞれ。

努力しまくって、デビュー掴むやつもいるけど

そもそも全然可能性がないやつは

下積みなんかあってもデビューできねーし

逆になんの努力もしないでデビュー決めた

美鈴みたいなやつもいる。

美鈴はデビューが決まってから努力したしな。

貴也なんかもそうだな。

貴也は赤ちゃんモデルからだから

いかに大人の都合に合わせてくれるかで選んでるから。

咲なんかは下積みタイプ。

小学生の頃からスクールに通って、

それ以外にもダンスもボイトレも通って

やっとデビューだしなー。」


「ふーん、なるほどねぇ…」


「隼也も才能だけどな。

受ける気なんかなかったくせに

グランプリとったから。」


「え、そうなの?」


「友達で試しに送ったんだと。」


「なにそれ、てきとー…」



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