居場所をください。
目の前で仲良く話す貴也と夏音は
私が立ち上がろうが全く気にしない。
私が歩き出そうが
貴也は全く私に目を向けない。
笑いながら夏音と話す始末。
私のことは本当に無視。
ってことで私も無視してドアに向かった。
「帰るの?」
「え?
………あぁ、うん。」
私がドアに近づくと
将太が私に話しかけてきた。
「俺ももう行くとこだし
一緒に外いこ。」
「あ、うん。」
将太は私より先にドアを開けた。
「彼氏、いいの?」
「なにが?」
「吉田さんと話してて。
美鈴、嫌じゃないの?」
「………まぁ仕方ないんじゃない?
貴也って共演者とは仲良くするみたいだし。」
「そっか。
まぁあんま気にしない方がいいよ。
さっき怖い顔してたし。」
「え、私?」
「他にいないでしょ。」
そういって笑う将太は
ほんと爽やかだった。
隼也とは違う爽やかさ。