居場所をください。



目の前で仲良く話す貴也と夏音は

私が立ち上がろうが全く気にしない。


私が歩き出そうが

貴也は全く私に目を向けない。

笑いながら夏音と話す始末。


私のことは本当に無視。


ってことで私も無視してドアに向かった。


「帰るの?」


「え?

………あぁ、うん。」


私がドアに近づくと

将太が私に話しかけてきた。


「俺ももう行くとこだし

一緒に外いこ。」


「あ、うん。」


将太は私より先にドアを開けた。


「彼氏、いいの?」


「なにが?」


「吉田さんと話してて。

美鈴、嫌じゃないの?」


「………まぁ仕方ないんじゃない?

貴也って共演者とは仲良くするみたいだし。」


「そっか。

まぁあんま気にしない方がいいよ。

さっき怖い顔してたし。」


「え、私?」


「他にいないでしょ。」


そういって笑う将太は

ほんと爽やかだった。

隼也とは違う爽やかさ。



< 2,859 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop