居場所をください。



「あの、なんでアウトドアなんでしょう。」


「あ、ここ。

ここな、俺の友達が店長やってんだよ。」


私の質問に答えろ!!!


………なんて思いは虚しく消え…


「よう。」


「お、ひかるじゃん!

お前たまには連絡しろよー。」


この元ヤンばりのいかつい人が

本当に長曽我部さんの友達なんだろうか……。


「さっき連絡したろ。」


「業務連絡じゃねーか!

まぁいいや。この子の?」


「そ。うちの美鈴。」


「あ…五十嵐美鈴です。」


「ははは、そんなビビんなくていいよ!

おれ内山悟志!よろしくな。」


「あ、はい。」


「別によろしくしなくていいけどな。

まぁいいわ。

美鈴に合う登山用品揃えてくれたか?」


「あぁ、あんだけ細かいデータ送られてきたしな。」


「へ?登山?私が?」


「そ。

明日富士山登りにいこう。」


「は!?富士山!?

ってかなんでいきなり登山!?

山登ったことないのにいきなり富士山!?」


「うるせーよ。

登山ってのはな、肺活量も増えるし

体力もつくし精神的にも強くなる。

やるからにはトップ目指すのが

俺のこだわりなんだよ。

よく言うだろ。

富士は日本一の山、って。」


「それは歌だよ!」


「とにかく決定事項。

一応トレーニングってことで

時給900円出るから。」


「やっす!」


「しかもな、富士登山したら

テレビで話すネタが増えるだろ。」


いや、そこかよ!


「とにかくもう決定事項。

悟志、さっさと持ってこいよ。」


「ったく、人遣い荒いな、相変わらず。」



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