居場所をください。



それからお金を払って

長曽我部さんとは時間だけ決めて別れた。


温泉も久しぶり。

年末以来だね。



中にはいるとがらーんとしていて

他にお客さんがいるのか疑わしいくらい静か。


でも逆に助かるね。


私はさっさと服を脱ぎ、中に入ると

中にはおばあさんが一人だけ。


ほっと胸を撫で下ろし、

先に髪の毛と体を洗ってスッキリしてから

温泉へつかった。


この瞬間はほんと幸せ。

熱いけど、嫌いじゃない。


「お姉さんは学生さんかい?」


そこまで広くない空間に

おばあさんの声が響いた。


「……はい。

今高3です。」


「若いねぇ。」


「おばあちゃんは何歳?」


「80歳だよ。」


「へー、元気なんだね。」


喋りもしっかりしてるし耳も遠くない。

80歳ってみんなこんなもんなのかな。


「元気だけが取り柄だよ。」



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