居場所をください。
「……ごめんな。
これからはちゃんと連絡するから。」
「うん。
私も貴也に連絡するの忘れてた。
ごめんね。」
仲直りした私たちは目を合わせて笑って
キスをした。
「あのね、昨日から長曽我部さんと
富士山に登ってきたよ。」
「富士山?
……あぁ、だからあの荷物か。」
「昨日の昼過ぎから登って、仮眠とって
日付かわってからまた登って、
ご来光見てきたよ。
すーっごいよかった。」
「そ、よかったな。」
「下が見えないくらい、高いところから
地球を見渡して、改めて自分の小ささを知った。
なんかいろいろ考えさせられたよ。
こんな広い世界に私が何か伝えられることって
あるのかな、できるのかなって。」
「あるに決まってんだろ。
なかったら、俺らはいったい
なんのために芸能界にいるんだよ。」
「ふふ、そうだね。」