居場所をください。



でも私は知ってしまった。

てっぺんについたとき

その景色を失う怖さを。


登りたくなったらまた登ればいい。

言うのは簡単でも、その道のりは

とても過酷だということも知ったから。


「……俺とも出掛けよ。」


「え?」


「美鈴っていっつも長曽我部さんじゃね?

俺とも出掛けよ。」


「え、うん。

でもどこに?」


「とりあえず飯か。

行くぞ。」


「えぇ!もう?」


「なんか問題でもあんの?」


「だって洗濯物も出さなきゃだし…」


「いいよ、あとで。

他は俺やっといたし。」



「……わかった、わかりました。

じゃあバッグに荷物詰めるから。」


私はとりあえず貴也から離れて

出掛ける支度をした。


……すっぴんだけどいいよね?



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