居場所をください。
「弘希は何て言ったの?二人に。」
「そのまんま。金ないのに
どうやって大学通うんだよって。」
「それだけ?」
「で、父さんが
金なら俺も出すからって言ったんだけど
俺が余計なお世話なんだよ、って言った。
離婚して、もう赤の他人なんだから
そんなことまで口出しすんなよ、って。」
あーあ。
「それはまた
大変なことを言ってしまったね。」
「……怒らねーんだな?
美鈴なら怒るのかと思った。」
「私も似たようなことしたから。
長曽我部さんに向かって
本当はお母さんに迎えに来てほしかったって。
思ってもないこと口にして、今でも後悔してるよ。
弘希も本当は後悔してるんでしょ?」
「……あぁ。」
「弘希の気持ちもわかるよ。
私も、親がいないことで早く大人にならなきゃ
早く自立しなきゃ、そればっかり考えてた。
でもさぁ、きっと親からしたら
子供は何歳になっても子供で、
子供が大きくなっても親でいたいんだよ。
子供に迷惑かけらるのが親の努めでもあるんじゃない?
弘希は本当はどうしたいの?
離婚してなかったら、本当はどうしてた?」
「……急に言われてもわかんねぇ。」
「本当にやりたい仕事があるなら
別にいいけどさ。
大学出たからって必ず幸せになれるかなんて
そんなのわからないし。
お金がないから、なんて言ったら
親が責任感じて当然だよ。
意地でも何とかするって思うよ。
本当はお母さん助けたいんでしょ?
もう無理させたくないんでしょ?
素直にそう伝えればいいじゃん。
気持ちは伝えなきゃ伝わんないんだからね。」
「……わかってるよ。」