居場所をください。
「ま、とりあえずお風呂だね!
貴也、服貸してあげてよ。
弘希は先にお風呂入ってきなよ。」
「はいはい。」
さてと、私はまず長曽我部さんに電話かな……
なんで私がこんなことを……
弘希がお風呂に向かったのを確認してから
私は長曽我部さんに電話を掛けた。
『もしもし?』
「弘希、うちに来てるから。」
『は?美鈴んち?』
「そう。
話聞いたけど、弘希も弘希なりに考えてるんだから
あんまり反対ばっかしてちゃダメだよ。」
『……弘希には絶対大学行かせる。
美鈴には関係ねーんだから
弘希にあんま変なこと吹き込むなよ。』
「……関係ない?」
『関係ないだろ。
俺たちの問題なんだから。』
「……そ。わかったよ。」
長曽我部さんからの"関係ない"が
ショックで、私は電話を切った。
なんだかすごく遠い気がして
やっぱり長曽我部さんにも
踏み入れてはいけないところがあって
長曽我部さんは私に何も言ってくれなかった。
今までもそうだった。
長曽我部さんは私にあまり話さない。
いつも私からばかりだった。
……弘希、
血が繋がってたって
所詮、そんなもんなんだよ。
あんたはしあわせだよ。