居場所をください。



私たちがヤイヤイ言い合ってる間にも

周りの大人たちは着々と話を進めていて

私たちの話なんか、もう誰も聞いていない。


「私たちの希望はどうなったんだ。」


「でもさっきのアメカジって言葉は

ちゃんと拾われたみたいだぞ。」


「そっか、ならよかった。」


あとは大人たちがスケジュール確認をして

一時間ほどで打ち合わせを終えた。


「私たちはサイズを図られただけだね。」


「まぁいいじゃん、楽だったし。」


「隼也これから暇?」


「あぁ、暇。」


「貴也とご飯いくの。

隼也も行かない?」


「おう、行く行く。

……ところで長曽我部さんは何を撮ってるの?」


「密着動画。」


「あー、仕事。」


そういうことです。


「隼也。」


「はい。」


私たちがそんな会話をしていると

長曽我部さんは隼也にカメラを渡した。


「つーことで昼飯の様子は隼也に頼むわ。」


「俺っすか?」


「そ、頼んだ。

カメラは美鈴に渡してくれればいいから。

美鈴は12時半に駐車場な。」


「はーい。」



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