居場所をください。



「……美鈴には親の思いとかわかんの?」


「どうかな。

でもそうやって自分に意見してくれるのは

羨ましいと思うよ。

私はそういうの、ないから。

怒られたことすらない。

だから親子喧嘩とかちょっと羨ましい。

大学なんてさ、私には選択肢に出てきたことすらないよ。

だから、早く働こうとする弘希をバカだと思ってる。

こいつ、本気で頭悪いんだなって。」


「おい。」


「でも、自分の意見もちゃんと持ってるんだなって。

私なんか、言われるがまま勉強して

言われるがまま一高に言って

言われるがまま長曽我部さんについてきて。


自分の意思なんてなんにもない。

幼稚園児以下だよ、私なんか。


弘希にはないの?将来の夢。」


「考えたことない。

ただ………大事なもん守れる男にはなりたい。」


「長曽我部さんみたいな?」


「……………さぁ。」


「大事なもの守るためには

誰かに守られてなきゃ。」


「は?」


「弘希はまだ

どうやって守ればいいのかわからないガキなんだから。」


「さっきからガキばっか

うるせーよ。」


「長曽我部さんを傷つけたら

私が許さないからね。」



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