居場所をください。



「必ず迎えに来ます、か…。」


聴き終えたあと、ママがポツリと言った。

かと思ったらいきなり立ち上がった。


「この歌、ご両親に向けた歌なのね。」


「うん。どこかで聴いてくれるかもしれない両親に。」


ママは引き出しから何かをとりだし、戻ってきた。


「これ、美鈴に。

手紙と一緒に置いてあったの。」


「ネックレス?」


「これをつけてたら

親御さんもっと気づきやすいかもしれないでしょう?

唯一の手がかりよ。」


「……………ありがとう。

私は2月1日デビューなの。

その日はテレビ出るからよかったら見てね。」


「うん、必ず見るわ。」


「じゃあ私たちいくね。」


私たちは立ち上がり、部屋を出た。


「じゃあまた来るね。」


「うん。CDありがとね。」


私はママに別れを告げて

車へ戻った。



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