居場所をください。



「なんだ、また緊張してんのか。」


「だって10万人も入ってるんだよ?」


「はいはい。

アイス買ってきたし食うか?」


「食べる!!」


「ハルのはねーよ。」


「ガーン!!」


「ふふ、ハル残念だね。」


私は長曽我部さんに抱きついて落ち着いてから

アイスを受け取って食べた。


暑いしね。


「やっぱ長曽我部さんはいてくれなきゃだめだね。」


「美鈴の出番まであと45分くらいだな。」


フェスはもう始まっていて

私の出番は夕方。

沖野さんの2組前だ。


「ま、美鈴は本番に強いから大丈夫だよ。」


「うん。」


長曽我部さんがそばにいるだけで

こんなに落ち着く。

本当にミラクルだ。


「ところで佐藤さんはここにいていいの?

貴也は?」


「別にいいよ。

あいつは一人でも。」


優しい顔で冷たいこと言ったね。

ま、貴也はもう芸歴18年だもんなぁ。



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