居場所をください。
私と矢島くんのシーンは
とくにダメ出しもなく
なんとか一発で終えた。
ま、練習なんだけどさ。
「あー、ほんっと恥ずかしい。」
「そんな照れられると余計やりにくいよー。」
私が座るとすぐ隣に矢島くんが座った。
「矢島くんは照れないの?」
「仕事と思えばそうでもないかな?
意識したら照れるから
意識しないのがポイント。」
「意識かぁ…」
矢島くんがもっと不細工ならいいのに。
なんでこんなかっこいい顔してるの。
「まぁ五十嵐さんは
普段演技してないわけだし
慣れなくて当然だけどね。」
「……矢島くんはなんで役者になったの?」
「んー、まぁスカウトされて
なんとなく?」
「へー。
それなのにその演技力、すごいね。
才能かなぁ。」
「はは、でも俺なんて全然。
松野くん見てるとほんとすごいと思うしね。」
「貴也なんてもう天職だよね、これが。」
切り替えの早さに台詞の覚える早さ。
すごいよなぁ。