居場所をください。



誠くんからそんな話を聞いてから

私は明奈ちゃんの元へと向かった。


「寒くない?」


さりげなく、窓も閉めて。


「うん、平気。

ご飯ごちそうさま。おいしかった。」


「ならよかった。

………誠くん、ここ離れるんだね。」


「うん。」


「明奈ちゃんは?」


「私は……都内のところを受けて

実家から通うよ。」


「そっか。

じゃあ誠くんと会えなくなるから

ちょっと寂しくなるね。」


「……まぁね。

近くにいると鬱陶しいけど

いなくなると寂しいかも。

ずっと一緒に過ごしてきたから。

貴也も中学卒業してすぐ家を出て

高校卒業したらみんなバラバラ。

私だけまだ前に進めてないや。」


「そんなことないよ。

明奈ちゃんがずっと変わらずいてくれたら

帰ってきたら安心するんじゃないかな。

ここにいてくれる安心感って

すっごく大事だと思う。」


「………そっか。」


「3人は仲良くて素敵だと思う。

貴也なんて、友達と遊ぶなんて

全然しない人なのに。

ここに誰か呼んだのだって初めてだよ。」



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