居場所をください。
「………私はずっと
貴也の事が好きだった。」
「………は?」
「だから、貴也の事が好きだった。
なのに貴也全然気づかないんだもん。」
「え……でも誠と付き合ってんじゃん」
「うん、今はね。
今は誠がちゃんと好き。
だから貴也とどうなりたいとかじゃなくて
自分なりのけじめ。
………ずっと好きだったから
忘れるのもなかなか大変で。
だからフラれればすっきりするのかもって。
…そうやって言ってくれたのは美鈴ちゃんなの。」
「は?え、美鈴が?」
「そ。
私が貴也の事好きだったって気づいて
それなら気持ち伝えなよって。
だから美鈴ちゃんが誠を連れてったの。」
「あぁ、そういうこと…」
「で、貴也。
今さらだけど、ずっと好きでした。」
明奈はまっすぐ俺を見つめてそう言った。
だから俺もそのまま、明奈を見たまま
「………俺は
明奈をそういう風に見たことがない。
ごめんな。」
そう答えた。
明奈はそれを聞いて空を見て笑った。
かと思えば今度は砂を見た。
「うん、ちょっとスッキリしたかも。
これでちゃんと誠と向き合える気がする。」
「………ごめんな、気づかなくて。」
「いいよ。
貴也がそういうのに鈍いの知ってるし。
…………美鈴ちゃんと仲良くね。
フラれないように気を付けなよー?
あんな完璧な子、なかなかいないんだから。」
「あぁ、言われなくても。」
「じゃ、二人のとこ行こっか。」
「明奈。」
「んー?」
「お前はずっと俺の幼馴染みだよ。
だから、またなにかあれば言えよ。」
「………うん、貴也もね。」