居場所をください。


「ま、貴也が帰ったあと見るからいいけど。」


「削除しとく。」


「絶対だめ。」


まったく。

いいじゃん、キスシーンくらい。

恥ずかしいのかな。


「美鈴には見られたくない。」


「なんで?」


「なんでも。」


……………なんだよー。


「でもどうせ映画で見るんだからいいじゃん。」


「見んのかよ。」


「私も出るんだから試写呼ばれるでしょ。」


「寝てろよ。」


「寝ないよ。ばっちり見るし。」


「無理。」


「そんな恥ずかしがらなくてもいいよ。」


「別に恥ずかしい訳じゃねーわ。」


「じゃあなに?」


「……………別に。」


「もー、なにそれ。」


思わず笑ってしまった。


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