居場所をください。
明けましておめでとう。



「よ。」


「あ、いらっしゃい。」


他の住民に見られないように

事前に来る時間を教えてもらい、

時間までに部屋の鍵を開けて

貴也には勝手に入ってもらっている。


「あれ、風呂入ったんだ?」


「あー、うん。

会社でね。」


まだ18時だというのに

私はすでにスッピンにルームウェアだ。


「化粧しないと幼くなるよな。」


「嬉しくない。」


「喜んどけよ。」


「喜ぶとこなの?」


「さぁ?」


「さぁって…。」


「そういや明日俺も初詣行く。」


「え、そうなの?」


「さっき長曽我部さんから電話来た。」


……………私が好きってわかったから?

ったく。


「しかも俺ら会ってることバレてる。」


「えぇ!?」


……………そうか、急に私が好きになったから…。

そりゃ怪しまれるか…。


「立場的には反対するけど、

長曽我部さん自身は反対したくないのか

だめだとは言わなかったけどな。

噂になるな、とだけ。」


「ほんと?ならよかった。」


また会えなくなるなんて嫌だし。

やっと好きって気づいたから。


ま、貴也には好きな人がいるわけだし

そのまま終わりそうだけど。



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