居場所をください。
それから、私たちはタクシーを降りた。
「………こんな都会に、お寺…」
その先は来たことがないところだけど
こんな大都会に、大きなお寺があった。
「それは俺に言われてもしかたねーけど。
都会になる前に寺ができたんだろうし
仕方ないんじゃね?」
「そりゃそうだけど」
「こっち。」
周りの景色と違いすぎるここに
少し圧倒されつつ、
私は貴也について行った。
「しかも砂利じゃなくてコンクリート…」
「美鈴も歩きやすいだろ。
ハイヒールでも。」
「なんなんだ、ここは。」
私の予想とはるかに違うよ。
時代を感じるよ。なんだか。
「よし、こっち。」
お水を持ち、歩き出した貴也に
私もついていった。
「この奥なんだよ。」
そう言われ、ついたお墓は
「でっか」
立派なものでした。