居場所をください。
「どうして、再婚が決まったんですか?」
「………俺のため、なんだと思う。」
と、今度は弘希が答えた。
そして、弘希が手招きしたから
私は弘希のところへ向かった。
「俺を大学に行かせるためだろうよ。
元々ケンカ別れなわけでもないみたいだし
きっかけにすぎないだろうけど
母さんだけじゃ大学の費用は払えねーし
離婚して、血の繋がってない俺のための金を
母さんは父さんから受け取ろうとしない。
だからだよ。」
「………そっか。
よかったじゃん。」
「それに、なんか仕事も落ち着くみたいだし。」
「え?」
「前より家に居られる時間が増えるんだとさ。」
「………そっか。」
はは、それ絶対私から外れるからじゃん。
私の世話をしなくて済むから。
………ただの、邪魔者じゃん。
「あ、そうだ。
私もちょうどあなたに言いたいことがあったの。」
「………なんですか?」
「あそこの空き部屋、
あそこ使ってるの美鈴さんでしょう?
私たち、またここに住むのよ。だから…」
………あぁ、そういうことか。
「わかりました。
弘希の部屋、ないですもんね。
すぐに持って帰ります。
失礼します。」
私はそういって頭を下げ、
リビングを出て部屋に向かい、
置いてあった大きなカバンに
私の服を詰めた。