居場所をください。



"帰りになにか食べるもの買ってきて"


ご飯を作る気になれない私は

貴也にそうメールして、マンションを出た。


自分で買って帰ればいいのに。

なんて、メールを送る前に

自分で自分のメールに空笑いした。


心がからっぽになってしまった私は

無性に誰かと話したくなって

高橋へ電話をかけてみた。


『もっしもーし

なに、電話とか珍しいじゃん。』


「んー、今は高橋の声を聞きたい気分だった。」


『うわ!美鈴がそんな言うなんて!

明日は雪かな。』


「黙って寝れば。」


『あ、元に戻った。

なに、どうしたわけ?なんかあった?』


「んー…まぁいろいろね。

高橋は今なにしてんのー?」


『勉強~。もうすぐテストだし。

でも疲れたわ。あ、飯いかねー?』


「もう貴也にご飯頼んじゃったし。」


『はぁー?彼氏がつくんの?』


「ううん、なにか買ってきてって頼んだ。」


『なら今から断れよ。

俺と飯いこう。俺焼肉行きたかったんだよー。』


「………まぁいいけどね。

実は今私も高橋に会いたかったの。」


『やっぱ明日は雪だ。』


「気兼ねなく殴れるやつ探してたの。」


『………とりあえず、どうすんの。』


「んー、今からマンション寄りたいから

1時間後に駅かな。渋谷ね。」


『はいよ、了解。』


………なんか、電話してよかった。

ちょっとは気分転換になりそう。

高橋に話すとすっきりするしね。



< 3,662 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop