居場所をください。
"帰りになにか食べるもの買ってきて"
ご飯を作る気になれない私は
貴也にそうメールして、マンションを出た。
自分で買って帰ればいいのに。
なんて、メールを送る前に
自分で自分のメールに空笑いした。
心がからっぽになってしまった私は
無性に誰かと話したくなって
高橋へ電話をかけてみた。
『もっしもーし
なに、電話とか珍しいじゃん。』
「んー、今は高橋の声を聞きたい気分だった。」
『うわ!美鈴がそんな言うなんて!
明日は雪かな。』
「黙って寝れば。」
『あ、元に戻った。
なに、どうしたわけ?なんかあった?』
「んー…まぁいろいろね。
高橋は今なにしてんのー?」
『勉強~。もうすぐテストだし。
でも疲れたわ。あ、飯いかねー?』
「もう貴也にご飯頼んじゃったし。」
『はぁー?彼氏がつくんの?』
「ううん、なにか買ってきてって頼んだ。」
『なら今から断れよ。
俺と飯いこう。俺焼肉行きたかったんだよー。』
「………まぁいいけどね。
実は今私も高橋に会いたかったの。」
『やっぱ明日は雪だ。』
「気兼ねなく殴れるやつ探してたの。」
『………とりあえず、どうすんの。』
「んー、今からマンション寄りたいから
1時間後に駅かな。渋谷ね。」
『はいよ、了解。』
………なんか、電話してよかった。
ちょっとは気分転換になりそう。
高橋に話すとすっきりするしね。