居場所をください。

長曽我部side



***


やっば。もう16時…

美鈴絶対待ってるわ。急がねーと。


………こんな時に限って渋滞だし。

なんなんだよ、くそ。

いつもこっち側は混んでねーのに。


でも、やっと結果も揃ったし

美鈴喜ぶかな~。

やっと…でもねーけど

あいつの頑張りの成果だもんな。


今年もいろんな賞にノミネートされそうだし

ベストのこともやっといろいろ決まって

完成にまた近づいたし

あとはライブのことか。


去年はすげー苦労してアルバム作ったのに

今年はわりとあったり歌詞も出てきたし

ジャケ写も年内に撮れそうだし

順調すぎてなんにも言うことなしだな、今回は。


~♪~♪~♪


…ん、電話か。

………しかも父さんかよ。


「もしもし?なに。」


今の世の中、ハンドルで電話に出れて

スマホ触らず電話もできて、便利な世の中。

一人のときじゃねーと絶対使えないけど。


『あぁ、いや

今日美鈴と会ったんだけどさ』


「どこで?」


『会社。まぁそれはいいんだけど

ひかる、美鈴にマネージャー変わること

言ってなかったのかよ。』


「あぁ…これから言うつもり。なんで?」


『あー、いや

俺がさっき言っちゃったから。』


「は?え、何て言ったんだよ。」


『新しいマネージャーが決まったって。』


「………で、美鈴は?」


『最初は佐藤が変わると思ったらしくて

軽くショック受けてるみたいな

少し落ち込んだ表情したんだけど

俺が変わるのはひかるの方って言ったら

美鈴、少し笑って出てった。』


………笑って…?


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