居場所をください。



「離婚する前もさ

何軒も施設回って探してさ

この前3人で食事に行ったときも

あの子と会ったはずっと上の空で

さっさと帰っちゃってさ。

大事なのはわかるよ?

だけど、私たちだって家族じゃないの?」


泣きそうにそういう里美に

ソファでテレビを見るわけでもなく

うつ向く弘希を見ていたら

俺はもう出ていくなんて言うことはできなくて…


「そう、だな。

ごめん、俺いるわ。

とりあえず風呂の支度でもすっかな~。

腹減ったから飯、早めに頼むわ。」


いつも通り接して、

ここにいることにした。


………美鈴と話すのは今日じゃなくていいもんな。

美鈴がハワイから帰ってきたら話そう。


今は、目の前のことだけを考えよう。

俺は器用に生きる人間だもんな。


「………いいわけ?それで。」


自分を納得させるように頷き、

風呂を洗っていると

弘希もいつの間にかそこにいた。


「いいに決まってんだろ。

それに、美鈴には今貴也もいるしな。」


「ふーん、そ。

ならいいけど。」


「ところで弘希は明日学校だろ?

今日泊まってくわけ?」


「いや、帰る。

母さん明日早番だしな。」


「そ。」



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